学部長挨拶

愛知学院大学薬学部長 安池 修之

今、この現代は予測困難な時代と言われています。少子高齢化社会、AIをはじめとする情報技術の進化、新型ウイルスの流行による社会・医療不安、持続可能な社会の実現に向けた世界規模での取り組みなど課題は多くあり、解決や対応のために医療を取り巻く環境も大きく変わろうとしています。

大学は、生涯の支えとなる教養と人間性、並びに、社会から求められる高い専門知識とその応用力を一人一人の学生が身につけることで、豊かな社会の発展に貢献することを使命としています。薬学部では、建学の精神である「行学一体・報恩感謝」に基づき、薬学の科学的基礎に立脚した医薬品に関する包括的知識を持ち、疾病に対する適切な医薬品の選択や適正使用、さらには正確な医薬品情報の提供及び服薬指導などの高度で幅広い職能を有する、患者を中心にした高度先端医療及び地域医療に貢献できる人材の養成を目的としています。そのために医療人としての豊かな人間性を育みながら生命の尊厳について深い認識を持ち、医療を協働の場として人々の健康維持と医療の発展に積極的に貢献し、共創を通じて未来を開拓する研究心を持った医療薬学専門人を養成することを教育研究上の目的としています。

薬学部では多様な問題を自ら発見し解決できる能力、薬剤師に必要な学識及びその応用力、チーム医療に求められるコミュニケーション力並びに医療人としての倫理観と使命感を養成する体系的なカリキュラムが編成されています。1年次は日進キャンパスで社会人として必要な教養(教養教育科目)を修得し、楠元キャンパスで薬学を学ぶ上での基礎知識(専門教育科目)を身に付けます。また、医療人としての倫理観の養成、早期体験学習(主には2年次)などの導入教育を通して、薬学を学ぶための意欲や知的好奇心を育みます。2年次からは楠元キャンパスの専門教育課程において、基礎、医療及び臨床薬学に関わる知識を修得するとともに、問題発見・解決能力の養成を図るための実習・演習を行います。4~5年次には医療チームの一員として自らの役割が果たせるように、薬剤師に必須の技能・態度やコミュニケーション技術を大学内で学ぶとともに、病院薬剤部や保険薬局の臨床現場で実践を通じて修得します。

近年の医療、薬物治療の高度化、多様化、デジタル技術を基盤とした高度情報化への対応や革新的な医薬品の開発を目指す創薬科学と生命科学の進歩及び医療とそれらをつなぐ臨床薬学、医療薬学の発展に貢献できる質の高い薬剤師が求められています。そのために様々な問題を発見しながら解決するための「科学的分析力と思考力」や「探究心」を備えた人材の育成も重要です。そこで、4~6年次には各講座に配属され、教員の直接指導下で充実した卒業研究を行います。そして、より高い専門性を持った基礎薬学研究者や医療薬学研究者を養成するために大学院薬学研究科(4年制博士課程)を設置しています。また、医療生命に関連した先駆的プロジェクト研究を行うことによって健康の増進並びに医療の向上に寄与することを目的として医療生命薬学研究所を併設しています。

愛知学院大学薬学部は平成16(2004)年に設置され、平成17(2005)年に開校し、まもなく20周年を迎えます。この間、本学部は充実した教育内容と学習環境を提供し、今後も医療や薬剤師に求められる社会のニーズを踏まえながら時代に即した教育プログラムを提供していきます。現在、令和6(2024)年度新入生から新しくなる薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育プログラムを準備中です。学生の皆さんは6年間の学生生活を念頭に置き、自ら意欲を持って主体的に勉学に取り組み、専門知識と技能に加え、課題解決力、創造力、社会適応力、自己研鑽力、コミュニケーション力など社会で生き抜く力を身に付けられるように、充実した日々を送っていただきたいと思います。