愛知学院大学 薬学部 医療薬学科

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第87回薬学セミナー

日時
平成28年8月3日(水)17:00~
場所
愛知学院大学 薬学部棟2階 大講義室(201)
演者
薬学部 疾患病態学講座 教授 鬼頭敏幸
演題
アミノ酸代謝の差異による白血病治療
―古くて新しい分子標的治療薬アスパラギナーゼの開発動向―
要旨
小児急性リンパ性白血病ALLの治療に用いられてきたアスパラギナーゼは、アスパラギンを分解しアスパラギン酸とアンモニアに分解する。ALLではアスパラギン酸とグルタミンからアスパラギンを合成するL-asparaginase synthetase ASNSを欠損している。アスパラギナーゼの併用により、50年来、小児ALLは最も治癒の期待できるがんとなっている。アスパラギナーゼは、その多種多様な副作用のため、成人患者の治療には選択されてこなかった。近年、RBC内に封入されたアスパラギナーゼGRASPAの開発がなされた。RBC内に転送されたアスパラギンのみを加水分解し、急激なアスパラギン枯渇を来たさない、免疫原性が極めて低いというものである。我々はモノクローナル抗体によるASNSの発現検討の手法を確立した。本法によるASNS欠損腫瘍の証明、アスパラギナーゼ感受性腫瘍という新たな治療標的の検索について紹介する。