1. 糖尿病合併症(神経障害)の発症メカニズム解明とその治療薬
 糖尿病患者数の増加にともない、糖尿病合併症を患う患者数も増加しています。糖尿病合併症により患者の Q.O.L. や生命予後が著しく低下することから糖尿病が社会的にも大きな問題となっており、糖尿病合併症の治療法開発が急務と考えられています。糖尿病性合併症の成因として、ポリオール代謝活性亢進、protein kinase C 活性異常、酸化ストレス亢進および非酵素的糖化反応の亢進などがあげられています。糖尿病性神経障害に対する治療薬として、ポリオール代謝の律速酵素であるアルドース還元酵素阻害薬が臨床使用されており有用性が確立されていますが、重症化した神経障害の機能回復は困難であり、根本治療の開発が切望されています。
 当研究室では、糖尿病合併症、特に神経障害の病態解明と新たな成因に関する研究、DPP-4 阻害薬や GLP-1 作動薬を含む糖尿病治療薬の糖尿病合併症に対する効果の研究などを行っており、糖尿病合併症治療法の開発・確立を目指しています。
2. 血糖自己測定 (SMBC) 器機および周辺機器の評価・開発と糖尿病療養指導に関する研究
 現在、簡易血糖測定器は約 10 社 20 種類以上が発売されています。これらの血糖測定精度、干渉物質の影響や測定器の周辺機器の使用感などの評価を行い、糖尿病患者に対する療養指導への有用性などに関する検討を行っています。
3. インスリン注射デバイスおよび注射針の評価・開発と糖尿病療養指導に関する研究
 ペン型インスリン注入器などインスリン自己注射デバイスの評価・開発、ペン型インスリン注入器用注射針の評価・開発と糖尿病療養指導における有用性の評価、ペン型インスリン注射器の補助具の評価など、インスリン注射に関する様々な研究を行っています。
4. 糖尿病治療薬・脂質異常症治療薬・降圧薬の糖尿病患者に対する効果の検討
 主任教授の加藤が愛知医科大学大学病にて糖尿病専門外来を行っており、愛知医科大学医学部糖尿病内科の協力のもと、糖尿病治療薬、脂質異常症治療薬、降圧薬などに関する臨床研究を行っています。
5. 消化器疾患における遺伝子解析

 銅の蓄積症であるウイルソン病、鉄の過剰症であるヘモクロマトーシス、体質性黄疸を引き起こす Dubin-Johnson 症候群などの、遺伝性肝臓病について、疑いのある患者さんから頂いた血液を使って遺伝子解析をし、特異的治療を導入することに取り組んでいます。

共同研究施設

 愛知医科大学医学部内科学講座糖尿病内科

 東京都医学総合研究所運動・感覚システム研究分野 末梢神経病態研究室

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