第63回 薬学セミナー

日時 平成25年5月29日(水)17:00~18:00
場所 薬学部棟 2階 大講義室(201)
演者 曽田 翠 助教
薬学部 臨床薬剤学講座
演題 患者のQOL向上を目指して 
~味覚センサーを用いた医薬品の苦味評価~
内容  超高齢化社会を迎え、アルツハイマー型認知症患者が増加しており、認知症の治療ガイドラインにおいてはドネペジル塩酸塩の投与が推奨され、多くの臨床試験においてその有用性が証明されている。2011年には先発医薬品アリセプト®OD錠の特許切れに伴い、多くの後発医薬品が発売された。2012年度の診療報酬改定では後発医薬品の使用推進が重点課題とされたことから、薬剤師は多くのドネペジル塩酸塩後発医薬品の中から個々の患者に適した薬剤を推奨しなければならないと考えられる。後発医薬品は先発医薬品との生物学的同等性が証明されているが、薬剤選択の一指標となりうる崩壊性、味、服用しやすさ等に関する情報はあまり公表されていない。口腔内崩壊錠 (OD錠) は少量の唾液で崩壊し、嚥下能が低下した患者も服用しやすい剤形である反面、口腔内で崩壊するため薬剤の味がコンプライアンスに影響する可能性が高い。認知症患者は病態の進行に伴って服薬意識が低下するため、ドネペジル塩酸塩のわずかな苦味でもコンプライアンスの問題となると考えられる。
 また、小児の薬物療法では病状や体重に合わせた用量調整が必要であるため、微調整が可能な散剤、ドライシロップ、シロップ剤などが汎用される。小児患者も薬剤の苦味やざらつき等が原因で服薬を拒む可能性があるため、服薬時の工夫、飲み合わせなど適正な味のマスキング方法を提供することが重要であると考えられる。
 そこで、我々は味覚センサーを用いてドネペジル塩酸塩OD錠および小児用ドライシロップの苦味を測定し、服用しやすさについて比較検討してきた。本セミナーではこれらの研究成果を報告する。

愛知学院大学薬学部医療薬学科
名古屋市千種区楠元町1-100
問い合わせ先:薬学部教務委員会(担当:山本、連絡先:内線2190)

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