第61回 薬学セミナー

日時 平成24年10月31日(水)17:00~18:00
場所 薬学部棟 2階 大講義室(201)
演者 木村 聡子 助教
薬学部 応用薬理学講座
演題 呼吸中枢に影響を及ぼす薬物についての神経薬理学的研究
内容  呼吸中枢は、呼吸リズムの形成や呼吸運動をつかさどる筋群を支配する神経の活動を制御し、生命体の恒常性を維持している。臨床で使用される薬物の中には、呼吸中枢に直接影響を及ぼし、場合によっては呼吸停止を引き起こすものがある。演者らは、呼吸中枢に影響を及ぼす薬物の作用機序、またその治療薬についての研究を行ってきた。本セミナーでは、以下の研究成果について紹介する。
① morphineによる呼吸抑制の改善薬探索
 morphineに代表されるオピオイド鎮痛薬の過量投与時には呼吸抑制が起き、時には致死的となりうる。現在、morphineによる呼吸抑制の治療には、オピオイド・受容体遮断薬naloxoneが用いられている。naloxoneは呼吸抑制を速やかに回復させるが、morphineによる鎮痛作用も減弱させる。これまでに、オピオイド鎮痛薬による呼吸抑制のみを選択的に回復する薬物の開発が試みられ、いくつかの候補薬物が示されているが、幅広く臨床使用されるようになった薬物はない。演者らは、コリンエステラーゼ阻害薬、セロトニン5-HT1A受容体刺激薬が、morphineによる呼吸抑制作用および鎮痛作用に及ぼす影響について検討してきたので、その結果について紹介する。
② 抗インフルエンザウイルス薬oseltamivir phosphate (OP)の呼吸抑制作用
 OP服用後の有害事象として心肺停止や突然死が報告されているが、OP服用との因果関係は不明とされている。演者らは、麻酔ラットの横隔神経活動、自発呼吸に対するOPの作用について検討を行い、OPが呼吸中枢に及ぼす影響について検討を行ったので、その結果について紹介する。

愛知学院大学薬学部医療薬学科
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問い合わせ先:薬学部教務委員会(担当:佐藤、連絡先:内線2300)

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