第60回 薬学セミナー

日時 平成24年9月26日(水)17:00~18:00
場所 薬学部棟 2階 大講義室(204)
演者 鈴木 裕可 助教
薬学部 薬効解析学講座
演題 痛み関連TRPチャネルの発現および活性化メカニズムの解明
内容  Transient receptor potential(TRP)チャネルは6回膜貫通領域を有するカチオンチャネルであり、1989年にショウジョウバエの光受容体変異株の原因遺伝子として同定されて以来、機能的多様性を有することが明らかとなってきた。TRPチャネルは生理活性物質、温度変化、機械刺激、浸透圧変化、酸化ストレス、pH変化など多岐にわたる刺激により活性化され、細胞内へカチオンを流入させる。つまり、細胞内外の環境変化を感知し細胞内シグナルに変換する"センサー"タンパク質として働いている。近年、TRPチャネルが生体機能に様々な影響を及ぼすことや、様々な疾患の発症・成因に関与することが明らかとなってきており、新たな創薬標的として期待されている。
 TRPチャネルの中でも、生体内において痛みや炎症に関与するものとしてTRPA1やTRPV4が挙げられる。TRPA1はマスタードオイルなどの化合物、pH変化、冷温刺激などにより活性化されることが知られており、プロスタグランジンをはじめとする炎症性メディエーターによる痛みに関与することが報告されている。また、TRPV4は浸透圧変化、温熱刺激、機械刺激などにより活性化され、機械アロディニアといった神経因性疼痛に深く関与することが報告されている。
 我々はこれまでにTRPA1、TRPV4の発現制御および活性化メカニズムについて研究を行ってきた。本セミナーではこれらの研究成果を紹介する。

愛知学院大学薬学部医療薬学科
名古屋市千種区楠元町1-100
問い合わせ先:薬学部教務委員会(担当:佐藤、連絡先:内線2300)

ページの先頭へ