第54回 薬学セミナー

日時 平成24年5月16日(水)17:00~18:00
場所 薬学部棟 2階 大講義室(206)
演者 森田 あや美 助教
薬学部 生体機能化学講座
演題 骨芽細胞の骨吸収促進因子産生機構の解析およびヒト神経芽細胞を用いた近年の研究報告
内容  近年、骨の形成を担当する骨芽細胞、および骨の吸収・破壊を司る破骨細胞の形成分化過程、ならびに増殖や機能の調節機構が急速に解明されてきた。骨芽細胞は、成長因子、ホルモン、およびサイトカインなどの生理活性物質に対し、分化、増殖、アポトーシス、または骨吸収促進因子ならびに抑制因子産生などの応答をし、破骨細胞とともに骨代謝の制御という重要な役割を担っている。また、骨代謝に対する神経系の関与も同様に注目されている。神経系に異常を持った患者には骨代謝に影響が現れ、局所的な骨の減少や脆弱化、骨折治癒の遷延や過剰な仮骨形成が生じることが知られている。加えて、矯正治療における歯の移動により交感神経系が活性化されること、および神経切除により矯正治療による歯の移動が抑制されることも報告されている。私はこれまでに、交感神経系の活性化と炎症状態が骨芽細胞に及ぼす影響を詳細に評価し、その作用機構の解析を行ってきたので、1)交感神経系の活性化に対する骨組織の応答 (in vivo)、2)骨芽細胞の in vitro 培養系を用いてその作用機構の検討、さらに3)bradykinin 刺激に対するヒト骨芽細胞の応答およびその作用機構の解析について紹介する。
 また、今後の展開として神経系そのもの、特に神経変性疾患の様な神経系の異常に対する新たな治療法の構築が、骨代謝疾患の様に二次的に誘発される疾患の予防に繋がると考えた。そこでこれまでに得られたヒト神経芽細胞を用いた細胞の分化、増殖および細胞応答に関する基礎的研究を報告する。

愛知学院大学薬学部医療薬学科
名古屋市千種区楠元町1-100
問い合わせ先:薬学部教務委員会(担当:佐藤、連絡先:内線2300)

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