第52回 薬学セミナー

日時 平成23年11月14日(月)17:15~18:45
場所 薬学部棟 2階 大講義室(206)
演者 内山 真伸 教授
東京大学大学院薬学系研究科/理化学研究所
演題 有機化学・元素化学・計算化学で拓く物質科学・生命科学
内容  「有機化学」と「金属(無機)化学」の融合である『有機金属化学』は、従来では困難であった分子変換を実現し、有機合成化学の発展に大きく寄与してきました。これは、炭素、水素、窒素、酸素からなる有機化学に、金属化学が加わることで様々な機能(触媒作用や酸化還元作用、気体吸蔵や磁気的・電気化学的・光化学的特性など)を持たせることが可能となるからです。純粋有機化合物が「s 軌道」「p 軌道」からなる「共有結合」で構成される「四面体の化学」であるのに対して、金属元素を導入すると新たに「d 軌道」「f軌道」が加わり、「イオン結合」「配位結合」をもつ「多面体への化学」へと多様化することに由来します。
 元素化学の発展によって、今や周期表のあらゆる金属元素・有機金属化合物の利用が可能となりつつあります。しかしその一方で、生物活性や有機材料に関する研究のツールとしては、これまで純粋有機化合物あるいは無機化合物がその中心として用いられ、有機金属化合物の貢献はほとんど無いといってよい状況にあります。有機合成が純粋有機化学の時代から有機金属化学を取り入れたことで大きく発展した事実を鑑みれば、生物研究・材料研究にも有機金属化合物が有効なツールとなる可能性は大きいと考えられます。当研究室では、周期表横断型の元素化学を基軸に、合成化学・分光学・理論化学を基盤として『高度分子変換化学』『未踏物質科学』『未知生命科学』に挑んでおりそのいくつかの例を紹介いたします。

愛知学院大学薬学部医療薬学科
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