第39回 薬学セミナー

日時 平成22年4月28日(水)18:00~19:00
場所 薬学部棟 2階 大講義室(206)
演者 薬学部 臨床製剤学講座 四ツ柳智久 教授 (学術著作権協会理事)
演題 著作権制度の概要 -学術著作物を中心にして-
内容  学術、文芸、音楽、美術などの著作物、発明、考案、意匠、その他の創造的活動の成果を「知的財産」とよび、「他人に無断で使用されない」権利を知的財産権という。知的財産の特徴は、物理的な「もの」と異なり財産的価値を有する「情報」であることが挙げられる。したがって、情報は、容易に模倣されるという特質をもっており、さらに利用されることによって物理的に消費されることがないため、当然無制限に利用されるおそれがある。
 知的財産権制度は、社会的に適切な範囲内で他者による自由な利用を制限し、創作者の権利を一定期間法律で保護する機能をはたしている。 知的財産権は、「著作権」と「産業財産権」に大別される。著作権が発生する(無方式主義)「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの」(著作権法第2条)と定められている。また、著作権は人格的な利益を保護する「著作者人格権」と財産的な利益を保護する「著作権(財産権)」からなる。
 学術著作物は、様々な創作的成果の中でもその特徴・性格において他の創作物と異なる面がある。一般的に、学術著作物は、①他者の過去の研究成果、知見、情報を基にしている。②その業績の上に新知見、新解釈、新方法などを加えて新しい学術情報として公表される。したがって、この新しい著作者自身(権利者)も受益者(利用者)であるという二面性がある。もう一つの特徴は、特に医学、薬学系、理工系など自然科学系の分野では論文の先駆性すなわちacceptedの日付に最大の関心が払われる傾向がある。これは意識するしないにかかわらず「著作権」の「著作者人格権」を重要視することを意味し、「著作権(財産権)」にあまり関心が払われない。進歩の目覚ましい自然科学系の論文は一般に時間とともに指数関数的に価値が下がり(骨董的価値は別にして)、その上「著作権」の保護期間50年は非現実的であることも理由であると思われる。
  学術著作物の流通には著作者から最終利用者までの過程で多様な関係者が介在する。先ず、学会は学術情報を評価・管理し、出版する。専門書出版社は成果を世に公表する。図書館は学術情報の収集、集積、管理する。ついで様々な分野の著作権管理団体が権利関係を管理する(学術著作権協会もそのうちのひとつ)。 学術情報の複製は大学等で日常的に行われているが、著作権及びその制限と深く関わっている。私的使用のための複製(著作権法第30条)、図書館等における複製(第31条)、学校その他の教育機関における複製等(第35条)は最も関係する規定である。
学生および教員皆様の御来聴を歓迎します。

愛知学院大学薬学部医療薬学科
名古屋市千種区楠元町1-100
問い合わせ先:薬学部教務委員会(担当:佐藤、連絡先:内線2300)

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