・細胞外マトリックスが細胞の活性化に及ぼす影響に関する研究

 生体内組織に存在している多くの細胞は、細胞外の環境の影響を受けながら、その機能を発揮しています。私たちは、細胞外マトリックスの「硬さ」がアレルギーに関わるマスト細胞の活性化に及ぼす影響を追究し、細胞が周囲の環境をどのように感知して、それによりどのような影響を受けているのかを明らかにしようとしています。

1. Inflamm. Res., 68, 181-184 (2019)
2. Exp. Cell Res., 381, 248-255. (2019)
3. Cell. Biochem. Biophys., 83, 2481-2488. (2025)



・マスト細胞活性化の分子機構に関する研究

 花粉症をはじめとしたアレルギー性疾患は、患者数が増加の一途をたどっており、国民病ともよばれています。アレルギー反応に中心的な役割を果たしているのは、マスト細胞で、活性化に伴ってマスト細胞から遊離されるヒスタミンなどの様々な物質がアレルギー症状を引き起こします。私たちは、マスト細胞の細胞の中を顕微鏡でのぞいて、マスト細胞が活性化される仕組みを明らかにしようとしています。そして、それを新しい医薬品開発の足掛かりにしたいと考えています。

1. Eur. J. Immunol., 49, 2172. (2019)
2.
Biochem. Biophys. Res. Commun., 534, 714. (2021)
3. Inflamm. Res., 153, 2025. (2025)
4. Cell Biol. Int., 50, e70124. (2026)



・分泌顆粒の細胞内輸送と開口放出機構の研究

 いくつかの細胞は、細胞内に分泌顆粒をもち、活性化されるとその中身を細胞外に放出します(開口放出)。免疫系のマスト細胞、内分泌系の膵臓ランゲルハンス島α細胞も細胞内に顆粒をもつ細胞であり、それぞれアレルギー反応を誘導するヒスタミンや血糖値を上昇させるグルカゴンを顆粒内に含んでいます。そして、細胞が刺激を受けると細胞膜方向へ運ばれ、細胞膜と融合することによって細胞外に放出されます。私たちは、それがどのような分子機構で起こっているのかを明らかにしようとしています。この研究は、私たちの研究室としては新しい挑戦です。

1. Cell Biochem. Biophys., 74, 391-398. (2016)
2. Biochem. Biophys. Res. Commun., 485, 725-730. (2017)
3. Mol. Cell. Biochem., 446, 83. (2018)
4. Front. Cell Dev. Biol., 6, 74. (2018)



正電荷リポソームによるマスト細胞の活性化制御の研究

 正電荷リポソームは、細胞表面に吸着しやすく、それによって種々の細胞機能を制御するツールとなる可能性を秘めています。私たちは、正電荷コレステロールを素材とした正電荷リポソームを用いて、マスト細胞の活性化を抑制することを目指しています。

1. Biochim. Biophys. Acta, 1859, 2461-2466. (2017)
2. Cell Biol. Int., 44, 1068-1075. (2020)
3. Chem. Phys. Lipids, 231, 104948. (2020)
4. Cell Biol. Int., 48, 1463-1472. (2024)