愛知学院大学 薬学部 医療薬学科

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第86回薬学セミナー

日時
平成28年6月22日(水)17:00~
場所
愛知学院大学 薬学部棟2階 大講義室(201)
演者
薬学部 生体機能化学講座 教授 武井佳史
演題
癌の腹膜播種性転移の分子機構の解明とその抗転移療法への応用
要旨
日本人の二人に一人が癌に罹り、三人に一人が癌で亡くなる時代である。癌で亡くなる要因の殆どが「癌転移」にあるが、「癌転移の分子メカニズム」の解明が遅れている。様々な癌転移のモードのうち、我々は腹膜転移に注目している。腹膜転移のある患者は最も重い病期に分類され、早期に亡くなることが多い。よってその治療方策の確立が喫緊の課題となっている。腹膜転移を頻発するスキルス胃癌において、我々はまず、患者由来の細胞株を樹立した。さらにこの株を起点に腹膜転移能力が高い株を単離した。網羅的代謝物解析(メタボローム解析)や網羅的遺伝子発現解析(mRNA, miRNA)を介して、腹膜転移で異常亢進する代謝経路(ペントースリン酸経路)、またその経路を制御する酵素群やmiRNA群を見出した。本講演では、網羅的解析で見出した分子標的の生物学的意義、また実際にin vivo実験で立証した腹膜転移抑止効果について紹介する。