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研究概要


環境有害因子による生体内での毒性発現およびその防御機構の解明に関する研究を主要課題として、マウスや培養細胞を用いて以下のような研究を進めています。


(1)カドミウムの毒性発現および輸送機構の解明


 今日わが国において、産業職場や環境汚染による比較的高用量のカドミウム曝露による健康影響(代表的なものにイタイイタイ病がある)は激減しました。しかしながら、その一方で、カドミウムはコメなどの食品を介して生涯にわたって身体に取り込まれることから、最近では微量カドミウムの長期摂取が一般人の健康に障害を与える可能性が指摘され国際的な問題となっています。カドミウムは腎、骨、呼吸器、循環器、生殖器および胎児などに障害を引き起こすことが知られていますが、それらの毒性やカドミウムの体内輸送のメカニズムはほとんど明らかにされていません。当研究室では、実験動物(マウス)や培養細胞を用いて、カドミウムの毒性発現に関与する遺伝子および消化管におけるカドミウムの輸送体遺伝子を遺伝子工学的手法(マイクロアレイ法や干渉法など)により特定し、カドミウムの毒性発現メカニズム並びに消化管からのカドミウムの吸収メカニズムを明らかにすることを目指しています。

(2)生体内防御因子としてのメタロチオネインの役割


 環境有害因子の中には重金属やフリーラジカルを産生することによって障害を引き起こす物質が数多く存在しており、これらの生体内防御因子として「メタロチオネイン」という低分子量の金属結合タンパク質が注目されています。当研究室では、有害金属や酸化的ストレスによる毒性および化学発がんにおけるメタロチオネインの役割について、メタロチオネインノックアウトマウスを用いて検討を進めています。
メタロチオネインの部屋

(3)有機金属化合物・錯体分子を活用した生体防御システムの機能調節と疾病予防


 生体は様々な疾病に対する防御システムを備えており、それらの生体防御因子を恒常的に高く発現させることができれば、疾病の治療や予防に大きく貢献できます。当研究室では、生体防御因子の発現や機能を調節できる有機金属化合物・錯体分子を培養細胞および実験動物を用いて探索し、疾病の治療や予防に有用な有機金属化合物・錯体分子を開発することを目的に研究を進めています。