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テキスト ボックス: 研究テーマ薬学部 医療薬学科 疾患病態学講座

がん薬物治療:L-アスパラギナーゼ感受性腫瘍の探索及び治療への応用研究

1. Overall Survival among Children with Acute Lymphoblastic Leukemia (ALL)

Who Were Enrolled in Childrens Cancer Group and Childrens Oncology Group Clinical Trials, 19682009.

 Hunger SP, Mullighan CG. N Engl J Med 2015;373:1541-1552

2.

東京大学先端科学技術研究センター計量生物医学浜窪隆雄研究室Home pageより許可を得て引用

国民の半分近くが、がんに罹患し、がん患者の増加にともない、抗がん剤による治療(化学療法)を継続している患者数も増加しています。そのなかでも、小児の急性リンパ性白血病ALLは、現在は、90%以上を超える5年無病生存率を誇り、最も化学療法が成功した小児のがんです(図1)。急性リンパ性白血病において使用されているL-アスパラギナーゼ(以下ASNase)はL-アスパラギンをL-アスパラギン酸とアンモニアへと加水分解する酵素であり、寛解導入に使用される重要な治療薬として用いられています。小児の急性リンパ性白血病においては、ASNS蛋白質発現量が非常に低いためL-アスパラギンを生合成することができず、L-アスパラギン欠乏状態に陥り、遂には細胞死を起こします(図2)。ところが一部の白血病患者さんにおいてはASNS蛋白質発現量が高いことが知られており、それらの患者さんにはASNase療法が功奏しない場合があることが判ってきました(ASNase抵抗性)。そこでASNS活性(あるいはASNS蛋白質量)を測定することによって、ASNase療法を適用するかどうかを判定することが重要であると認識されるようになりました。ASNS蛋白質発現量が高く当初よりASNase抵抗性である腫瘍、症例を、ASNS蛋白質発現量が低くASNase感受性である腫瘍、症例を区別して、ASNaseの効果が期待できる症例にASNaseを適応することにより患者の Q.O.L. や生命予後が著しく向上することが期待されます。わたしたちはASNase感受性を予測しうるヒトASNSを特異的に認識できるモノクローナル抗体を開発しました。フローサイトメトリー法により白血病のASNase感受性とASNS蛋白質量の相関を臨床評価できる可能性が示唆され、ASNS蛋白質が、白血病におけるASNase療法を適用するかどうかの治療方策のマーカーとなると期待されます。これらの抗体を利用して免疫染色を実施することにより、白血病だけでなく、固形腫瘍でのASNS蛋白質発現量、ASNase感受性の検索を通じて、ASNaseの新たな治療標的の発見が切望されています。

川崎病の原因関するプロテオミクスによる解析研究

東京大学先端科学技術研究センター計量生物医学浜窪隆雄研究室Home pageより許可を得て引用

敗血症患者血中のPTX3複合体を抗PTX3抗体結合磁気ビーズで単離し、それらを高感度質量分析システムによる比較定量プロテオミクス法で網羅的に同定しました(図1)。詳細な解析の結果、同定タンパク群の中にNETs(Neutrophil extracellular traps※2)の構成タンパク質が含まれていることが新規に見出されました本結果から、PTX3NETs内でAZU1MPOなどの抗菌タンパク質と結合し、細菌の認識・殺菌効率を高める役割を果たしている、というPTX3の敗血症における新たな生体保護メカニズムが提唱されました。現在、同様の方法で、川崎病における病原体の検出を試みています。

川崎病のバイオマーカーの確立と冠動脈瘤病変を予防する血管作動物質の探索研究

Gemma Vilahur,  Lina Badimon らVascular Pharmacology, Volume 73, 2015, 3844

http://dx.doi.org/10.1016/j.vph.2015.05.001 より引用

ペントラキシン3(PTX3)は液性パターン認識受容体※1(Soluble pattern recognition receptor)として自然免疫反応に重要な役割を担う分泌タンパクです。通常血中にはほとんど存在せず、各種炎症・感染症で血中に出現し、特定の細菌の認識・除去を行なっていると考えられています。特に敗血症においては通常の数百倍(〜200ng/mL)まで血中濃度が上昇することが知られています。われわれは、川崎病患者60例での検討で、重症度に従った上昇を報告し、特に、冠動脈瘤を来たした患者で、(〜100ng/mL)近くまで上昇していることを報告しました※1。バイオマーカーとしてのペントラキシン3の有用性と、治療に関する様々な研究を行っています。
1.
日本臨牀増刊号【最新冠動脈疾患学(下)−冠動脈疾患の最新治療戦略−】・“冠動脈病変マーカー(PTX3,LOX-1,MMP

小児リウマチ診療における治療体系の確立

 主任教授の鬼頭が愛知医科大学大学病院にて小児リウマチ専門外来を行っており、愛知医科大学医学部小児科の協力のもと、抗リウマチ薬、抗サイトカイン薬、生物学的製剤などのリウマチ治療薬に関する臨床研究を行っています。鬼頭は、若年性特発性関節炎の際の重篤な合併症であるマクロファージ活性化症候群(Macrophage Activation Syndrome: MAS)の国際的な診断基準作成に委員として参画しました。2016 Classification Criteria for Macrophage Activation Syndrome Complicating Systemic Juvenile Idiopathic Arthritis: A European League Against Rheumatism/American College of Rheumatology/Paediatric Rheumatology International Trials Organisation Collaborative Initiative  Ann Rheum Dis. 2016;75(3):481-9. Arthritis & rheumatology. 2016;68(3):566-76. 2誌に同時掲載されました。

小児薬理学の確立・小児医療における薬剤師の役割の探索

 PPAG: The Pediatric Pharmacy Associationは、国際的な、専門家によるNPO法人The Pediatric Pharmacy Advocacy Groupが運営する小児専門薬剤師、小児患者のための集まりです。小児の薬物治療の向上のために活動しています。その唯一の目的は、交流、教育、研究を通じて小児における薬物治療を安全で、有効なものにすることです。PPAGの活動に参加して、日本における小児薬物学の確立を目指します。PPAGによる包括的な小児薬物治療のテキストAdvanced Pediatric Therapeutics (APT) 2015に発行されました。英文教科書の抄読会を通じて、小児の薬物治療の理解を進めていきます。


共同研究施設

 愛知学院大学歯学部附属病院小児科

 愛知医科大学医学部小児科学講座

 滋賀県立小児保健医療センター      

 愛知医科大学病院輸血部

 京都大学医学部附属病院 小児科

 愛知県がんセンター研究所分子腫瘍学部

 名古屋大学医学部・大学院医学系研究科 病理病態学講座生体反応病理学・分子病理診断学

 東京大学先端科学技術研究センター計量生物医学(富士フイルム基金)

Paediatric Rheumatology INternational Trials Organisation (PRINTO)

Keck Graduate Institute (KGI) Claremont, CA USA


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