研究概要

(1)呼吸中枢神経回路の構造と機能ならびに呼吸調節機能に関する研究

呼吸中枢神経回路を構成する呼吸中枢ニューロンについて,膜の電気的特性とシナプス伝達様式,関与する神経伝達物質の同定および受容体伝達機構などの研究をしている。また,疼痛とそれに伴う呼吸調節機能の変化を検討する目的で,オピオイドによる呼吸抑制とその制御機構について検討している。

(2)脳神経回路のシナプス伝達の制御に関する研究

(2-1)延髄孤束核シナプス伝達の調節

呼吸循環系に関する様々な末梢性入力を受容する延髄孤束核中継ニューロンの興奮性および抑制性伝達物質の放出に対する生理活性物質による制御機構について延髄slice標本を用いて研究している。さらに,中枢性鎮咳薬の孤束核シナプス伝達に対する抑制作用の機序の解明を目指している。

(2-2)海馬長期増強の調節

海馬CA1細胞シナプス伝達の長期増強現象における海馬由来コリン作動性神経刺激ペプチド(hippocampal cholinergic neurostimulating peptide: HCNP)の関与とアミロイドβによる抑制機序についてHCNP knockout mouseおよびHCNP-pp transgenic mouseから作成した海馬slice標本を用いて検討している(名古屋市立大学医学部神経内科学講座との共同研究)。また,低酸素因子(HIF)による認知・学習機能および海馬神経活動に及ぼす影響について,認知機能の変化と海馬CA1細胞シナプス伝達の長期増強現象の変化を指標に検討している。

(2-3)三叉神経脊髄路核における神経連絡様式と制御

口腔内の痛覚伝達を中継する三叉神経脊髄路核内でのシナプス伝達様式の解明とTRPV1チャネルならびにプロスタノイドによる修飾について,延髄slice標本を用いて興奮性および抑制性シナプス後電流を指標に検討している。さらに,三叉神経枝(オトガイ神経)部分結紮による疼痛過敏モデル動物を作成し、三叉神経脊髄路核中継ニューロンのシナプス伝達の変化を正常動物と比較すると共に、プロスタノイド受容体、カンナビノイド受容体、TRPV1チャネルなどによる調節を検討している。(愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座との共同研究)。

(3)神経障害性疼痛における痛みと骨量減少の相互関係に関する研究

慢性疼痛による骨構造・骨代謝への影響を検討するため,神経障害性疼痛モデルマウスを用いて,痛みと骨量減少の相互作用のメカニズムを明らかにすると共に有効な治療薬の探索を目的として研究を行っている。


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