研究概要


 近年の目覚ましい科学・医療技術の進歩によって、人類は様々な病を克服してきた。しかし、生活習慣病の中でも「がん」は未だ治療が困難な疾病の一つであ る。医療従事者の献身的な努力により、年々「がん」の治療成績は向上しているものの、がん治療にとって最も期待されていることは新しい抗がん剤の臨床導入 に他ならない。
 様々な研究者・大学・企業などが多種多様なアプローチで、新薬の開発のために日夜研鑽を重ねている。生体有機化学教室では、がん化学療法を発展させるべ く新規抗がん剤の開発研究を中心とする研究を邁進している。特にがん化学療法に新たな展望を切り拓くリード化合物の創薬研究と、それらの感受性規定因子の 解明研究、及び創薬研究を能率良く展開させるためのがん細胞の生物学的特徴を分子標的の解明を目指している。我々の研究成果により、幾つかの化合物は現在 臨床試験中であり、医薬品としての臨床使用が熱望されている。
 がん細胞に限らず、体内には無数の有機化合物が存在し、生命活動の維持(がん細胞の増殖)にはそれらが重要な役割を果たしている。この生体機能分子に化 学的修飾を施した有機化合物は多くの治療薬として開発されてきた。また、疾病に特有の生体機能を十分に理解し、その機能を修復する機能的な薬剤も有益であ る。さらにゲノム情報から得られる莫大な情報もこれからの創薬科学には必要不可欠なものであろう。ゲノム情報を応用した創薬開発はまだまだ困難な点や不明 瞭な部分も多いが、治療効果が高くかつ選択的(副作用が少ない)、しかも安価な薬剤を開発することも可能である。また薬剤を用いた治療にとって、副作用と 個人差が最も大きな問題点である。これらを治療前に予め予測可能であれば、適切な薬剤の選択、至適投与量の決定を行うことが出来る。ゲノム情報や薬剤の分 子作用機構などから的確に治療効果を予測出来れば、副作用の回避、治療費の軽減などにつながり、患者が得る利益は大きい。


 これらの研究目的を達成するために以下の研究プロジェクトが進行中である。
 ・生体機能分子の化学的修飾による細胞増殖制御に関する研究
 ・がん細胞増殖因子を標的とする有機化合物の開発に関する研究
 ・ゲノム情報に基づく有機化合物の有効利用に関する研究
 ・薬剤感受性規定因子の化学的解析と効果増強に関する研究

生体有機化学教室は

  「生体機能と有機化合物の相互作用」

  「有機化合物を主体とした生命活動の解明」

  「生物学と有機化学との融合」

  「薬剤の臨床応用」

を念頭においた研究に取り組んでいる。

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