・接着部位を介した細胞間相互作用の研究

 私たちの身体は、約60兆個の細胞から成り立っています。これらの細胞はそれぞれが独立して働いているわけではなく、相互に情報のやり取りをして機能しており、それにより恒常性(ホメオスタシス)が保たれています。特に、神経細胞は多くの種類の細胞と接着し、その機能を制御しています。私たちは、共存培養系を用いて、神経細胞と他の細胞の接着部位を介したコミュニケーションの分子機構を明らかにしようとしています。そして、神経細胞とマスト細胞、および、神経細胞と膵臓ランゲルハンス島α細胞の細胞間相互作用の研究において、最先端の研究結果を多くの国際誌に発表しています。
1. J. Immunol., 186, 5983-599 (2011)
2. J. Neuroimmunol., 250, 50-58. (2012)
3. Br. J. Dermatol., 168, 771-778. (2013)
4.
Biochem. Biophys. Res. Commun., 438, 563-567. (2013)
5. Biophys. J., 111, 2255-2262. (2016)
6. Mol. Cell. Biochem., in press. (2018)



・マスト細胞活性化の分子機構とその制御に関する研究

 花粉症をはじめとしたアレルギー性疾患は、患者数が増加の一途をたどっており、国民病ともよばれています。アレルギー反応に中心的な役割を果たしているのは、マスト細胞で、活性化に伴ってマスト細胞から遊離されるヒスタミンなどの様々な物質がアレルギー症状を引き起こします。私たちは、マスト細胞の細胞の中を顕微鏡でのぞいて、マスト細胞が活性化される仕組みを明らかにしようとしています。そして、それを新しい医薬品開発の足掛かりにしたいと考えています。
1. Biol. Pharm. Bull., 33, 881-885. (2010)
2.
Biol. Pharm. Bull., 35, 178-183. (2012)
3.
Biol. Pharm. Bull., 35, 1354-1360. (2012)
4.
Biochem. Pharmacol.,86, 1731-1738. (2013)
5.
Mol. Cell. Biochem., 410, 215-221. (2015)
6. Biochim. Biophys. Acta, 1848, 2290-2294. (2015)
7. Cell Biol. Int., 40, 589-596. (2016)
8. Biochim. Biophys. Acta, 859, 2461-2466. (2017)



・分泌顆粒の細胞内輸送と開口放出機構の研究

 いくつかの細胞は、細胞内に分泌顆粒をもち、活性化されるとその中身を細胞外に放出します(開口放出)。免疫系のマスト細胞、内分泌系の膵臓ランゲルハンス島α細胞も細胞内に顆粒をもつ細胞であり、それぞれアレルギー反応を誘導するヒスタミンや血糖値を上昇させるグルカゴンを顆粒内に含んでいます。そして、細胞が刺激を受けると細胞膜方向へ運ばれ、細胞膜と融合することによって細胞外に放出されます。私たちは、それがどのような分子機構で起こっているのかを明らかにしようとしています。この研究は、私たちの研究室としては新しい挑戦です。
1. Cell Biochem. Biophys., 74, 391-398. (2016)
2. Biochem. Biophys. Res. Commun., 485, 725-730. (2017)
3. Mol. Cell. Biochem., in press. (2018)



正電荷リポソームによる遺伝子導入の研究

 種々の疾患を遺伝子レベルで治療することが可能な遺伝子治療では、外来遺伝子を細胞内へ効率よく導入するベクターの開発が急務です。しかし、安全で効率の良いベクターの開発には至っていないのが現状です。私たちは、正電荷コレステロールを素材とした正電荷リポソームを用いた遺伝子導入の研究を行っています。そして、がんの治療や免疫応答の調節などに有効な遺伝子導入ベクターの開発を目指しています。
1. Int. J. Pharm., 398, 225-230. (2010)
2.
Biochem. Biophys. Res. Commun., 414, 635-640. (2011)
3.
Eur. J. Pharm. Sci., 49, 1-9. (2013)
4. Eur. J. Pharm. Sci., 102, 230-236. (2017)