・アレルギー反応の分子機構の研究

 花粉症をはじめとしたアレルギーは国民病ともよばれています。それは、アレルギーやアトピーで悩まされている人々が数百万にも達するからです。研究室ではアレルギー反応を解明し、アレルギー治療薬の開発に役立てようとしています。そのため、アレルギー反応を誘起するマスト細胞に着目し、その活性化機構を共焦点レーザ顕微鏡を用いて追究したり(図1)、脱顆粒反応を原子間力顕微鏡を用いて解析したり(図2)しています。その最先端の研究結果を多くの国際誌に発表しています。
図2
マスト細胞の細胞膜と分泌顆粒の蛍光画像。細胞内には多くの顆粒があるのが分かります。
図1
図1
図2
活性化後のマスト細胞の細胞表面の画像。顆粒が放出された跡の多くの孔が見られます。



免疫系と神経系のクロストークの研究

 免疫系と神経系は生体内の独立したシステムであるかのように考えられてきました。しかし、近年の免疫学と神経科学の急速な進展は、免疫系と神経系との間には密接な相互作用(クロストーク)が存在し、両者の相互作用により生体の恒常性が維持されていることが明らかになってきました(模式図)。しかし、このような神経系と免疫系の相互作用については、適切な研究手段がなく、これまでは十分な解析はほとんどなされてきませんでした。私たちはこのような免疫系と神経系の相互作用(クロストーク)研究の突破口として、新生児マウスから初代培養神経細胞を調製し、免疫細胞と共存培養することに成功しました。そして、共存培養システムと各種の顕微光学技術を用いて、両者の細胞間で液性因子を介してクロストークが起こっていることを世界で初めて明らかにしました。また、そのクロストークには接着分子が重要な役割を果たしていました。研究室では、このような研究成果を各種疾患(炎症性疾患、神経変性疾患等)の治療法開発に結びつけようとしています。



正電荷リポソームによる遺伝子導入の研究

 遺伝子治療における重要な研究課題は外来遺伝子を生体内へ導入する安全なベクターの開発です。しかし、安全で導入効率の高いベクターの開発には至っていないのが現状です。私たちは、正電荷コレステロールを素材とした正電荷リポソームの開発を行ってきました。そして、特にバイオサーファクタント(図3)を含有した正電荷リポソームがとても効率よく細胞内に遺伝子を導入できることを明らかにしました。研究室では、生体内および幹細胞への効率的な遺伝子導入にこの技術を活用しようとしています。

図3
図3
図4
バイオサーファクタントMEL-Aの構造式
図4
導入遺伝子の細胞内局在。橙:外来遺伝子、青:正電荷リポソーム、ピンク:遺伝子とリポソームの複合体。