主な授業

主な授業の紹介です。6年制のカリキュラムページと一緒にご覧ください。

薬品物理化学

基礎熱力学とエネルギーの種類、熱とは何か、化学平衡と自由エネルギーの関係、物質の状態を決定する要素、化学変化への応用、エントロピーの概念、自発過程と自発変化の方向等について学びます。生命・生体維持にとって最も重要な物質「水」の物性及び水溶液の性質、薬物の水中における解離、会合、吸着等を熱力学的見地から学習します。

剤形論

薬物を人体に適用するにあたって、投与方法や投与形態に工夫を加え、薬物の体内動態をコントロールすることによって、薬効を最小の薬物量で最大限に発揮させ、副作用を最小限に抑える技術が期待されています。このような薬物投与の最適化を目的とした投与システムをドラッグデリバリ一システムとよび、剤形の特徴、重要性を薬物治療との関連について学びます。

生薬学

生薬は、薬用とする動植物の部分、細胞内容物、分泌物、抽出物または鉱物であり、人類の長い歴史の流れの中で経験に基づき生み出されてきたものです。今日、漢方薬を含む生薬製剤は病院や薬局等の医療現場で合成医薬品と並んで広く取り扱われています。生薬の基本的性質、有効成分の構造や化学的性質、薬理作用に関する知識の習得が求められています。まず、生薬の定義と分類、医薬品としての特性と品質評価、生薬の流通などの総論を学び、次いで日本薬局方に収載されている生薬を中心にそれらの基原植物、形態上の特色、主要成分、薬理成分と応用、品質評価について学習します。

機能形態学

人体の基本構造を理解するために、各器官の構造と機能に関する基本的知識を学習します。多核細胞生物の成り立ちを細胞レベルで理解するために、細胞の構造、増殖、分化、死の制御と組織構築に関する基本的知識を学習します。また、細胞の情報伝達機構を理解するために、代表的な細胞膜に存在する機能性蛋白質と細胞内情報伝達物質、作用発現機構、関与する情報分子素子の作動機構や相互の関連などに関する基本的な知識を学習します。

免疫学

生体防御反応(免疫)について、その機構を組織、細胞、分子レベルで理解に必要な基本事項を学習します。免疫反応の特徴(自己と非自己、特異性、記憶、分子レベルで見た免疫のしくみ(抗体分子の種類、構造、役割)、抗原・抗体反応の分子生物学での活用、アレルギー等の各種疾患との相互関連を学びます。免疫に関与する組織と細胞およびその役割と免疫反応における主な細胞間ネットワークについて学習します。また、臓器移植での留意点、モノクロナール抗体等の免疫系を活用しての新薬開発についても学びます。

分子生物学

分子生物学基礎の講義から生命現象の概念を学習します。生命体はDNA、RNA、蛋白質などの相互作用により極めで合目的に調節・制御されています。遺伝子発現の流れの中で、細胞膜から核のDNAへと続く情報伝達機構が重要な役割を果たしています。遺伝子の発現異常が細胞のがん化、神経疾患などの種々の疾患の原因となっていることを分子の構造、機構を通して理解し、学習します。また、最近の知見を交えて分子生物学の薬学分野における応用性すなわち医薬品開発の現況を学びます。

環境衛生学

環境衛生は、生活環境(室内環境、地域環境、地球環境など)における環境汚染問題に対して汚染の防止や除去などの保全対策を行うことによって、快適な生活環境を保持することを目的としています。ヒトの健康の維持・増進のためには、より良い生活環境の維持が要求されることから、環境汚染問題とその保全や環境汚染物質の人体への影響などについての基本的知識が必要となります。本講義では、水や空気の衛生(水質汚濁や大気汚染を含む)を中心に、環境汚染物質の生体影響、公害とその防止対策、廃棄物、地球環境保全などについて学習します。

薬学概論

学問としての薬学、社会における薬学の役割、医療における薬剤師の役割と任務を理解するため、生命の尊さ、医療における医薬品の重要性、薬剤師の果たす社会的役割、薬学研究教育について学び、薬学の全体像を把握し、医療人としての意識を高めます。また、薬学は生命科学の一翼を担っていることについても理解するため、up to dateなトピックも紹介します。医薬品創製のための探索研究から、医療用医薬品と一般用医薬品またはサプリメントとの間の相互作用をふまえた服薬指導まで、薬学のおもしろさ、難しさ、将来の展望を学習します。

生命と医の倫理

今日において、医療技術が進歩・発展するにともない、医療の社会に対する影響も大きく変化し医療や医師、歯科医師、薬剤師に対する社会の期待も変わってきています。そこで、生命と医の倫理では医療人としての任務を遂行するに当たって心得なければならない薬剤師としこの倫理を学びます,、

基礎薬物動態学

適正な薬物療法に科学的基盤を与えるのが、PK/PD関係の基礎知識です。PK(Pharmacokinetics,薬物動態学、薬物速度論)は、薬物の生体内移行(吸収、分布、代謝、排泄)を簡単な数学モデルであらわし、薬物の血中濃度などを時間の関数としてとらえる技術であり、それらを学ぶと同時に、血中濃度とPD(Pharmacodynamics,薬力学)の間の種々複雑な関係を学びます。これらの知識は個々の患者に対する最適な投与設計に役立つばかりでなく、薬物間相互作用による副作用を予測してそれを回避する業務にも役立つものです。

薬物治療学

疾病患者に対して適切な薬物治療を行うには、生理学・薬物作用学・薬物動態学・医薬品毒性学等の知識を基礎として、その病態や治療薬物を十分に理解することが必要です。薬物治療学では、薬物治療で用いられる薬物の選択、用法と用量、その期待される薬効や予測される副作用、さらに代表的な疾患については、その発生機序および病態、臨床検査値の変化を学習します。

疾患病態学

臨床医が主に遭遇する疾患について学びます。内科、外科、小児科、歯科において、日常遭遇する疾患に関して、治療や予後などの基礎となる病態、および代表的な症候からそれらの疾患の診断にたどりつく道筋を理解します、さらに、薬剤に起因する障害を各科の見地より学習します。

処方解析学

薬物治療を安全にかつ期待される十分な効果を引き出すためには、個々の病態さらには患者の希望を考慮に入れた薬剤を選択する必要があります。そのためには、薬物治療の効果発現の指標や予測される重大な副作用の発現をモニタ―する知識が要求されます。処方解析学では、チーム医療における薬剤師の役割を理解し、実践できる臨床薬剤師能力を修得します。

臨床コミュニケーション論

医療現場では患者に対して薬品に関する情報を誤解なく伝える、納得してもらう、薬品の服用をきちんと実行してもらう、いたずらに不安を抱かせない、などさまざまな配慮が必要です。また、職場の同僚との情報の伝達や関係構築も大切です。これらをうまく行っていくためには、コミュニケーションの特質を理解しなければなりません。本講義では、まず言語的コミュニケーションの基本原理に関して、言語学や心理学の研究成果をふまえて紹介した後、それと上述したような医療の具体的問題の関連づけを理解します。

薬事・法制

薬剤師として業務を遂行する際の薬事及び法制を理解するため必要な、薬剤師法、薬事法、医療品副作用被害救済・研究振興調査機構法、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法、大麻取締法、覚せい剤取締法、毒物及び劇物取締法、採血及び供血あっせん業取締法、医療法、健康保険法、国民健康保険法、老人保健法、製造物責任法並びに医療制度、医薬品開発及び血液供給体制等について学習します。

医薬品情報演習

医薬品の本来の目的を達成するために、その情報に基づいた正しい使用が不可欠である医薬品の適正使用およびリスクマネージメントの観点から、薬物治療に必要な最新の医薬情報を医療チームおよび患者に提供することは、医療機関で働く薬剤師の重要な業務です。本演習では、医薬品情報のコンピューターデータベースからの収集、入手情報の整理、分類、適正な解析による評価、情報の加工、管理の方法を演習を通じて習得します。

漢方薬学

中国の伝統医学が漢の時代に体系化され、日本に渡来して以来約1500年、独自に発展してきました。江戸時代にヨーロッパの医学が伝来してきた際、日本において発展してきた従来からの伝統医学を「蘭方」に対して「漢方」という言葉を用いてきました。漢方薬は現時点では臨床医の約8割が診療に用いています。したがって、薬剤師が関わる機会も多いものと思われます。「漢方薬学」では薬剤師が調剤、服薬指導などの臨床の現場において知っておくべき漢方医学の概要を紹介します。

皮膚科学・香粧品学

皮膚の構造および生理機能を理解するとともに、香粧品の製法、組成、性状などについて学習し、香粧品の人体に汲ぼす影響を理解します。また、香粧品の管理、使用法なども修得します。皮膚疾患の治療における香粧品の役割を学び、化学の知識と皮膚科学、化粧品科学の融合を理解し、身の回りの事象を化学的に見る目を養います。

医薬品開発学

新薬の創製には、その開発段階毎に種々の研究開発機能が複雑に関与します。とくに、臨床開発試験段階からは日米欧のグローバルな統―基準(ICH基準)で産官学の協調の基に医薬品開発が進められています。新薬の開発に関わるシステム・機能の役割を正確に理解し、その専門機能を学び、実用英語力も備えて新薬の国際開発に従事できるよう学習します。医薬品のマーケットシステム、医療経済についても学びます。インターンシップも採用し、キャリア・デザインを受講者各自が構築します。

創薬化学特論

医薬品の製造プロセスを製剤工学的観点から品質、安全性、環境安全、経済性について基本的コンセプトと実際を理解することにより、環境にやさしい医薬品生産を配慮できる態度を身につけます。ゲノム情報を利用したドラッグデザインについてドラッグデリバリーシステムの構築を念頭に置いた知識を修得します。また、生体の免疫系と神経系の特徴を学習するとともに、医薬品と生体とのかかわりについて理解を深めます。そして、高度専門薬剤師となるために必要な、創薬化学の基本的知識と技能を十分に修得します。

卒業研究

薬学教育の総仕上げとして、一般の講義や実習では得ることの難しい研究活動を通じて与えられた命題の理解・解釈、判断、解決の手順等を学びます。学生は各講座に配属され、指導教員は研究室における実験研究や調査、ゼミナールを通じて薬学各分野の最先端の研究について直接マンツーマンの指導を受けます。研究課題の達成までの研究プロセスを体験し、卒業論文を作成します。

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